1974年、ロンドンのケンウッドハウスに飾られている「ギターを弾く女」が盗まれました。

現存するフェルメールの絵画は少なく、その喪失は多大なものだと言われましたが、その後、幸運なことにケンウッドハウスに戻ってきたのです。

 

この絵が盗まれたのは、1974年2月23日、土曜日の夜のことでした。

窓ガラスが割れる音と鉄と鉄がぶつかるような音を聞いた警備員が駆け付けましたが、鉄格子のついた窓ガラスが割られ、すでに絵画は盗まれた後でした。

音を聞いてから駆けつけるまでは1分足らずだったそうですが、その間に「ギターを弾く女」が何者かに盗まれてしまったのです。

 

しかし、ほどなくして盗まれた絵画が入っていた額縁がケンウッドハウスから1kmも離れていない場所で発見されました。

そして、この額が発見された経緯が面白いのです。

ネラ・ジョーンズ(Nella Jones)さんという女性が自宅でアイロンがけしていたときに、『ギターを弾く少女』の在り処が、頭に浮かんだそうです。実はこのネラさんは超能力者、透視ができることで有名だったのです。

ネラさんは、頭に浮かんだその場所を急いでスケッチして、そのスケッチした紙を警察に持って行ったそうです。警察がその場所に行ってみると、額縁が見つかったのだそうです。

当然のごとく、イギリス警察はネラさんが犯人と何らかの係わりがあるのではないかと嫌疑をかけましたが、何の証拠も出てこなかったそうです。

このネラさん、なんと20年にもわたってその透視能力を警察に提供してきたそうです。

 

さて、額縁から絵画に話を戻しますと、「ギターを弾く女」が盗まれて間もなく、絵画の裏面から切り取られたカンバス生地の一部とともに、犯人からの要求が書かれた紙切れがロンドン市内の新聞社に送られてきました。

その要求とは、『イギリス国内で服役中の女性2名をアイルランドの監獄に移送すること』。この2人はプライス(Price)姉妹として名を知られており、1973年3月8日にロンドン市内の Old Baily で起きた自動車爆破事件の犯人として、終身刑を受けていたのです。この爆発事件では200人もの負傷者が出て、プライス姉妹は他のIRA員とともに逮捕されたのでした。

しかし、イギリス警察はこの要求を頑として受け入れなかったのです。

 

そして、その後1974年5月7日に、この「ギターを弾く女」は発見されます。

東ロンドン訛りのある男から電話での通報があり、通報された場所であるロンドンでもっとも古い教会のひとつである聖バーソロミュー教会へ行ってみると、敷地内にある墓石の間に新聞紙に包まれた絵画が置き去りにされているのが見つかったのです。

ロンドンの聖ポール寺院近くにある聖バーソロミュー教会は、大(Great Bartholomew)と Little Bartholomew(小)教会の2つがありますが、『ギターを弾く女』は大教会(Great Bartholomew)のほうで見つったそうです。この大教会は見事なクロイスター(アーチと回廊)があることで有名で、さまざまな映画やドラマのロケに使われています。

見つかった絵画は湿気によるダメージがあったものの、おおむね良好だったそうです。そして、絵画はきれいに修復され、ケンウッドハウスに戻ってきたわけです。

絵画というものは、作者や描かれた背景にもドラマがありますが、この世に生み出された後も数奇な運命をたどることがあるのですね。

 

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